A君と私(8)

小学4年生にして、人との接し方が180度近く変わってしまったA君のことを、恥ずかしい話だが私は少しダサくなったとか、弱くなったと思ったこともあった。だが実際は、そんなことを思ってしまう私の方が、よっぽどダサくて精神的レベルも低かったということに気付いたのは、大人になってからの話である。そこにいち早く気付くのは私でなければいけなかったのに、今だに自分でも情けないと思う。ただ、本当の意味でそこを理解は出来...

A君と私(7)

A君が戻って来て数日が経った。しかもクラスも同じになった為、以前にも増して一緒に居る時間が増えた。転校先ではどんなことがあったのか、その普通ではない色んなエピソードを聞かせてもらうのが面白くて、休み時間が待ち遠しい程である。そして、A君の悪戯心は1年以上経っても健在で、色んなことをしてよく私を笑わせてくれた。それに対して私も対抗心からA君を笑わせるので、時には二人で小学生の度を超えることがあり、担任...

A君と私(6)

私は、A君が転校して戻って来るか来ないかのタイミングで、サッカークラブに入っていた。本当はそんなことより遊びたかったのだが、無理矢理入れられた様なものだ。「ちびまる子ちゃん」で有名な作者のさくらももこさんは、自身が子供を産んだ時に 『赤ちゃんは自分のものではなく、私の体を借りてやって来てくれた、まだ何も知らないお客様だ』と、エッセイに書かれていた。別々の魂であり、これからお客様に一つ一つ丁寧に教え...

A君と私(5)

子供にとって、一ヶ月は大人よりも長く感じる。それが一年であれば尚更だ。日々の経験がまだ浅い為だとも考えられるが、もしお金のことを全く考えずに毎日友達と遊んでいられれば、大人だって子供と同じくらいの体感に戻るのかも知れない。A君がいなくなって、小2の子供目線で結構な月日が流れた。その心境は複雑で、少しほっとした様な、でも寂しい様なという気持ちが交差していた。私はA君との思い出として、これまでかなり昔の...

A君と私(4)

雨が降ろうが槍が降ろうが、自由気ままに表で遊んでいたA君。小学1年か2年のある雨の日、風邪を引いて熱が出ているにも関わらず、例のごとく町内の神社や用水路などを冒険して遊んでいたのだが、突然体調に異変を感じ始めた。勿論風邪を引いている自覚もあるし、そのうえで遊びに出るのは慣れっこだったはずなのだが、今日は何かが違う。おかしい。だんだん息苦しくなり、気を失いそうになったところで助けを求めるように家に帰...